地図を片手に

朝9時前に家を出た。
JR丹波口からスタートして新千本通北へ。
手には「お土居コース」(距離25キロ)の地図。
この辺は自宅付近なので地図の上の太い線は迷うことは無い。
お土居と言うのは豊臣秀吉が京の周囲を土塁で囲んだ、要は京を守る城砦だった。
その遺構を巡りながら、400年前の京の都を歩くというわけだ。
地図にはいくつかのお土居跡が記載されている。地図通りに歩いて、その印を写真に撮って帰ろうと意気込んで出かけたのだ。
千本通四条通で左折、西院付近まで来た。
地図には「お土居 おばんざい店北平」と書いてあったが、北平と言う店がない。
通りを間違えたかと、小さな通りにも入ってみるが見当たらな。
丁度ごみを出しに集積所に人がいたので尋ねてみた。「北平さんはなくなって、今はあのマンションになってる」とのこと。
お土居を巡ろうと思って歩いていることなど少し立ち話をすると、以前は北平の店にお土居のあとが庭のようにして残されたいたらしい。少しの時間だけれど地元の人話をするのが楽しい。
先に進んだ。次は「市五郎大明神」を目指す。
ここは神社すぐにわかった。ご婦人が神殿の周りを掃除しておられた。
また声をかける「お土居跡は?」「鳥居の横の階段を上がって」

西大路通りから一つ東に入った通りにあった。


ここでも地元の人とちょっとおしゃべり。


こんもりとした土塁の上には当時も木が植えられていたのかもしれない。
今は雑木林の感じのする丘と言うほどもない低い土塁跡。

また地図に戻って次の目的地へ、西大路通北へ。
地図にはトイレのある場所も書いてある。
「二条口」の記載があるが、これはお土居の出入り口のこと。今はお土居もないので当然その出入り口もないがあったであろう場所である。

お土居跡の残る次の場所は「北野中学」

校門付近で職員らしき人に「お土居を見たいのですがはいってもいいですか」とたずねる。ここでもしばらく立ち話。


お土居は校庭の奥に残っていた。そしてお土居の裏側にはプールやテニスコートがありお土居の傾斜を利用してスタンドが造られていた。
太閤さんもこのように利用されるとは考えなかっただろうな。

その先を進む。地図には「嵯峨口」とあるが、遺跡の案内などない。
次のお土居跡は北野天満宮と書いてある。
北野さんに行く途中にあわもち屋さんがある。
急ぐ事もない。好きなように歩るこう。途中下車でもなんでもありだ。


この粟餅屋さん古くからのお店で、出来立ての粟餅は絶品である。
粟餅を食べた後「嵯峨口」の事を聞いてみる。
「そこの呉服屋さんも古くからのお店やから知ってはるかも?」
そんな話をしながら店を出た。(そこまで戻って尋ねることもせず)先に進む。

北野天満宮を参拝してお土居跡へ。


紅葉シーズンでもあり、たくさんの観光客。私の目的はお土居跡めぐりなので外から写真だけを撮る。

北野天満宮を北門から出て、北へ進む。
お土居は鷹峯の方にも残っているのだが、地図は今宮神社をチェックポイントに指定しているので佛大の横を通って、今宮神社を目指す。

ここで神社のスタンプを地図に押す。(ちゃんと歩きましたよの自己申告用)
時間は12時を回っている。お弁当もあるのだけれど、ここに来たら「あぶり餅」でしょ!

今宮神社の次は加茂川中学を目指す。
中学のそばにお土居跡が残っている。
ここはお土居の北東の角にあたる場所だったようだ。

これからは南へ向いてひたすら加茂川沿いを歩く。
お土居は川の西側に築かれていた。お土居の跡はないが川沿いの自然豊かな景色のを見ながら気持ちよく歩く。

外国人のカップルが写真を撮っている。
籐の籠にポットやカップ、とてもおしゃれだなと思いながら通り過ぎた。
すると同じポット、同じカップを持った人たちが何組のいて、夫々が写真を撮っている。
「これはなんだ?」
気になって若い女性の二人組に声をかけた。
日本人ではなかった。
声をかけた手前、笑って誤魔化しながらもなんとか意思疎通を図る。
近くのコーヒーショップで貸し出してくれるサービスで、夫々が写真を写していたそうだ。
こんな観光もありなんだ、観光客の情報収集力に脱帽。

可愛い女性たちでした。

加茂加賀沿いから今出川通りで西に向かう。次の目的地は蘆山寺。
御所の東にあるお寺で紫式部ゆかりの地でもある。
ここにお土居跡があったことは知らなかった。

受付で尋ねると、墓地の中にあるらしく入山せずとも拝観できた。

お土居は今の河原町通にあった感じで続いている(地図はそう示している)
京の七口の一つ、粟田口も三条通りにある。

大分南へ下がってきた。
途中で京都ウォーキング協会へ寄って、今日のコースの認定を受けて「歩きたくなる道500選」のスタンプをもらう。

お土居はまだ南へ続いている。
京都駅の0番ホームはお土居跡の上に作られている。
その先は九条通りまで。
今日は京都駅で終了。スタートの丹波口までJRに乗り帰路についた。

一人で地図を片手に、その場で道を聞いたり、話をしたり、写真を撮ったり、寄り道したり。
予定の時間をはるかにオーバーしたけれど、毎日暮らしている町が新鮮に見えた。
歩くことの心地よさを再認識した一日だった。
また、時間を見つけて一人で歩いてみたい。