念願かないました

毎年のように拝観にでかける「正倉院展
日本の宝を長年にわたって収めてきた「東大寺正倉院
その「正倉」が100年ぶりに屋根の吹き替えが行われました。
今回が最後の修復現場の見学会です。
事前の申し込みが必要でしたが、それも選にももれず今日がその日でした。

「屋根近くに上って天平の甍に対面できる」くらいの気持ちでいたのですが、それ以上に正倉の内部まで見ることができました。

そばで見る正倉です。
太い柱も礎石も大きさに驚かされます。

倉の鍵です。
鍵は江戸時代のものだそうです。
天皇の勅許がなければ開きません。封印も天皇の署名の入った紙が巻き付けられ封がかけられ、そのまた上に勅使の署名が巻かれ、紐がかけられ、その上に一筋の線がひかれ厳重に封がされていたそうです。その再現です。
今の宝庫でも天皇の署名が入った封がなされているそうです。

正倉の内部
3層でした。ぐるりと並んでいる棚は大正の修復で収納と展示を兼ねて作られたもの。
当時は限られた人にだけ、ここで宝物が展示されたそうです。

ここにいます
私たちが正倉の内部を見ている場所です。
二階くらいの高さの足場の上にいます。
3つの入り口、北倉・中倉・南倉の3つの倉が集合して1棟になっています。

校倉造り
学校で習いました。
緻密な木組みを子供ながらにすごいことだと思いましたが、そばで見てそのすごさに圧倒されます。
立派な木です。1300年まえからここに宝物を守るために建っているのです。

屋根です
中ほどの不揃いな感じのするところが古い時代の瓦を使ったところです。

鬼瓦
四隅には魔除けを意味する鬼瓦があります。
瓦には工人の名前がありました。慶長年間のものだとか・・
幾度かの修復を重ねています。その時々の記録が瓦に残されているそうです。



天平の甍
この一角は奈良時代に作られた瓦がそのままに使われています。
100年後の修復の時まで、風雪に耐えるように古い瓦もその強度や安全性をすべて調べられたそうです。
35000枚近い瓦のうち、200枚余は奈良時代に作られたものがつかわれたそうです。

平瓦 表面
奈良時代に作られたものです。
成形するときに使われた布の目がはっきり残っています。

平瓦 裏面
縄を巻いたたたき棒で粘土板をたたいて瓦の形を整えます。
縄目や棒の端と思われるくぼみも見えます。
人の指の痕とおもわれるへこみもありました。

そしてその瓦を手に取って触れることができました。
思ったより軽く感じました。
機械化されていない時代の人工さんの手を感じました。
伝えるべきものはこうして伝わっていくのかと時間をこえた交流を感じることができた1日でした。

出来ない経験のできた1日でした。